●平成17年度 東北支部総会●


総会の模様(会長挨拶)




●平成17年度 東北支部講演会報告●

演題「理想の水環境を探る」 九州大学大学院工学研究院 楠田哲也先生

 環境の良さを評価することは個人の価値観に依存することが多く,目標を具体的に,しかも明確に語ることは困難である。しかし,理想の水環境を科学的に扱うために,まず『水環境の対象』や『理想の水環境は何か』を整理された。さらに,水環境の現実と日本の水環境に関わる変化,また,水環境に変化が生じた理由について論じられた。
 次に,水に関わる原理原則として,『水の価値』『審美性』『治水原理』『汚染出現の順序』『水質改善のための経済的余剰』『水質改善コスト』『生物と水』を挙げられ,具体的な図や表などを提示しながら解説された。  水環境に関わるシステムについては,都市化や都市開発によって降雨量と洪水流量の関係が変化することから展開し,今後の水環境再生の施策や河川環境整備のイメージを示された。また,様々な利権により,下水処理場の放流地点と浄水場の取水地点に関する問題を示し、さらに処理方式を標準活性汚泥法とした下水処理水が海域で一次生産した場合の汚濁負荷量について示された。
 この他,食物生産や各種産業におけるヴァーチャルウォーターについて。福岡市を例に,水道使用量が増加していることや,降水量が経年的に低下傾向を示していること。有明海の漁業やその生産量の変化について。さらに潮位にも経年的な変化が生じていること等々,様々な水環境に関する変化や事例などを紹介された。
 さらに,現在,中国の水環境に関わる仕事が多々あり,黄河流域の特性や,水資源と経済生産モデルについても紹介された。
 本講演のまとめとして,今後の水環境について様々な課題を挙げられたが,理想の水環境はそれぞれの地域で異なることから,地域ごとに「東北方式」「宮城方式」「仙台方式」「広瀬川方式」のような方法論を全体のシステムで位置づけて,他所へ情報を発信することにより各地の水環境を合わせて良くすることを提案された。
(宮城県下水道公社 鹿野信宏)


楠田哲也先生の講演
    
講演会の模様
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