●2008年度 日本水環境学会東北支部講演会報告
〜環境経済的手法を活用した水環境管理の可能性〜

主 催:(社)日本水環境学会東北支部
日 時:平成20年5月30日(金) 14:30〜17:00
場 所:AER(アエル)6F セミナールーム

 報告者:東北学院学大学 韓 連熙

2008年5月30日(金),日本水環境学会東北支部主催の講演会が仙台市青葉区のAER(アエル)セミナールームで開催されたので報告する。 講演会は2008年度水環境学会東北支部総会終了後,日本水環境学会長の東京大学工学系研究科都市工学専攻教授 花木啓祐先生を講師に迎えて90名以上の参加者が集まって開かれた。
 花木啓祐先生は東京大学工学部都市工学科を卒業し,同大学修士課程と博士課程を修了して1980年から1983年までの3年間の東北大学の勤務経歴を持っており, 1983年4月から東京大学工学部都市工学科に勤務し,1985年にはアジア工科大学院環境工学科の助教授も勤めた。
 この日は「環境経済的手法を活用した水環境管理の可能性」と題して,環境経済的政策の基本的な考え方や水環境の価値の計測を中心した講演であった。 具体的な例としては,諏訪湖水環境の価値を経済的評価方法としてCVM(仮想評価標)を適用し,改善効果を金銭的に評価したことや旅行費用法(トラベルコスト法)による 諏訪湖水環境の価値推定についての説明があった。 さらに,汚染物質の排出権取引モデルを提示し,実際に東京湾流域の下水処理場を対象とした結果は,この制度の導入による削減費用の節約効果は40〜60%であり, 公平性を持つことや取引制度の制限は導入しない方が削減費用の節約に効果が大きいとのことであった。最後には,下水処理場以外の排出者(生活排水処理施設,非特定汚染源) の参加や排出側の対策オプションの限界(対策種の限定,機敏性の欠如)などの下水道における排出権取引の課題と発展性可能性についての説明があった。
予定時刻90分を越える熱誠な講演を行った花木啓祐先生は,その後20分間の討論時間でも石橋良信先生(東北学院大学)や矢野篤男水環境東北支部幹事長(東北緑化環境保全) などの様々な質問に題して詳しくなおかつ分かりやすい説明をするなどの最後まで素晴らしい講演であった。最後は参加者全員の盛大な拍手と共に講演会の幕を閉じた。

以上


図1、佐藤支部長挨拶


図2、会場風景


図3、公演中の花木会長

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